アカデミー賞で孤独なアニメ映画ランキング 1

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66.8 1 アカデミー賞で孤独なアニメランキング1位
つみきのいえ(アニメ映画)

2008年10月4日
★★★★☆ 3.7 (222)
957人が棚に入れました
海面が上昇したことで水没しつつある街に一人残り、まるで「積木」を積んだかのような家に暮らしている老人がいた。彼は海面が上昇するたびに、上へ上へと家を建て増しすることで難をしのぎつつも穏やかに暮らしていた。ある日、彼はお気に入りのパイプを海中へと落としてしまう。パイプを拾うために彼はダイビングスーツを着込んで海の中へと潜っていくが、その内に彼はかつて共に暮らしていた家族との思い出を回想していく。

声優・キャラクター
長澤まさみ

メア さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

つみきのいえ。それは人生と思い出の・・・・・

アカデミー賞を受賞した加藤久仁生監督による作品。

作画は小さな絵本のようで見やすく、また、セリフというセリフが無いために少し考えなければならないかもしれない。

何故かはわからないが海面が上昇し、水没していく町の老人が、海面が上昇するたびに上へ上へと家を、まるで「積み木」のように大きくしていくお話。

彼はふとしたことで下に落としたパイプを拾いに行くのだが、そのとき下に行くにつれて、昔住んでいた部屋を見ることで昔の記憶、思い出を思い出していくのです。
それはこの話の主人公のおじさんの妻から子供たち、孫たち、結婚式、それに出会いの日々、何気ない日々までもと多くの人生を振り返ったおじいさんは最後に最下層、つまり玄関につき、そこから出て「いえ」を眺めたのです。あたりにある水没した「いえ」を含めて。そこで思い出す(恐らく)妻との幼少期からの思い出。走り回り、笑い、家をともに建て、最後にグラスを・・・。
このときおじいさんはグラスを拾い上げたのでしょうか。
また、最後に注いだ2杯のグラス。
彼はどのような気持ちで「乾杯」をしたのでしょうか?
きっと今までの記憶の懐かしさと、一人でいることの寂しさをともに味わったワインだったのでしょう。

上映時間は12分と少し。
短くないかときかれればとても短い作品ですと答えます。
しかし、とても多くのことを考えることの出来る作品でした。

切なくなり
 悲しくなり
  そこまではいったものの、結局涙を流さない今の僕の人生はまだまだ小さく、たいしたことの無いものでしょう。
いつか、また、このアニメを見たときにもっと深く感じられるような人間に・・・・・・・・・

つみきのいえ。
それは記憶を積むことで出来た家なのかもしれない。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 17

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

言葉など必要ないんだ。充分伝わるから。

静かに流れる時間、
ときどき流れる穏やかな音楽。
海の底に沈んだ、おじいさんの深い思い出と家族の歴史。
積み木を積んだような家は、人生そのもの。


2008年に発表された加藤久仁生監督による日本の短編アニメ。
音と映像だけでじっくり魅せる12分間。

日本語版では長澤まさみさんのナレーションが入るようだけれど、
正直言うと、ナレーションは必要ないんじゃないかと。
(もちろん、世界に伝えるためには必要な部分もわかりますが)


実はこの作品、自分の場合は絵本が先で。
だけどアニメーションで観たこの物語のほうがずっと、
心に深く刻み込まれている。
言葉がなくても充分、伝わるものがあるんだなって思った。

とても短いし、レヴューもあれこれ書かないほうがいいほどで。
ぜひ、まだ観てない方は一度ご覧になってください。

セピア色の濃淡、明暗が懐かしく、せつなく、
そしてやさしく包んでくれます。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 40
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

12分で語る「人生」

2008年、加藤久仁生監督による短編アニメーション作品。
「La maison en petits cubes」というフランス語のタイトルがついています。

水に沈みゆく町に住む一人の老人。
彼は、レンガを積み重ねることで生活空間を作っていくが、あるとき、お気に入りのキセルを落としてしまう……。

同じ短編アニメーションの「rain town」と、似たような雰囲気があります。

「rain town」のレビュー → http://www.anikore.jp/review/404459/

CGで描かれた美術的な美しさや、臨場感が「rain town」の特徴。
色鉛筆で手描きしたかのような味のある動き、また、内容のわかりやすさが「つみきのいえ」の特徴。

{netabare}
キセルを拾ったあと、2番目の扉を見つけた時に「あっ!」って声が出ちゃいました。
これから人生を遡っていくのだなと。
{/netabare}
過去を思い出すきっかけは、ふいに訪れるんですね。
そして、思い返し始めたらたら止まらない。
{netabare}
海底についたときに見えた、海の中に沈んだたくさんの家。
過去の暖かい思い出と、失ってしまったものへの悲しさが同居した、切なくも美しい風景でした。

その上に成り立つ、いびつながらも高い「つみきのいえ」。
老人の過ごしてきた、長くてたくさんのことがあった人生がうかがえます。
{/netabare}

わずかな時間で表現する「人生」がテーマの作品。
短くも濃い12分間でした。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 30
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